古湯ゆけむり店主たちが選ぶ「愛」にまつわる本と映画 - PART2

2024.09.21 NOTE posted by hinatabunko

前回に引き続き、この記事では、第2回古湯ゆけむり古本市へ出店する店主さん(以後「ゆけむり店主」と呼ばせていただきます)をご紹介していきます。また店舗紹介とは別に主催者自身がこの企画をより楽しみたいという思いから、ゆけむり店主さんたちの大好きな一冊・一本についても伺ってみました。テーマは古本市と同時開催の第39回古湯映画祭のゲスト・今泉力哉監督にちなんで ”恋愛”。 本と映画をそれぞれ1作品ずつ選んでもらい、推薦理由も教えていただきましたので、当日のゆけむり古本市と合わせてお楽しみいただければ幸いです。下記でご紹介する作品は、当日の会場にて展示・販売も予定しています。それでは PART2 へ!

ゆけむり店主4人目:BOOKS 楽坊(佐賀・有田町)

映画祭へは毎年お客さんとして参加されるほどの映画愛溢れる店主さん。焼き物のまち有田町からの出店です。絵本、画集、写真集などのアート系書籍から、一般小説、ポストカード、手作りオリジナル雑貨などを販売されます。

本 『魔法』 著者:クリストファー・プリースト

複数の視点から展開される異色のラブストーリー。プリーストならではの「融合と解離」により日常の概念がくつがえされる不思議な読後感を味わえる。普通のものは読み飽きたという方にオススメの一冊。ちなみにプリーストはクリストファー・ノーラン監督作品「プレステージ」の原作者でもある。

出版:早川書房/1995年

映画 『アニー・ホール』 監督:ウディ・アレン


実生活でのカップルでもあったアレンとキートン。彼らの日常を思わせるような、シニカルで、滑稽で、陽気な中にもちょっと切なさを感じさせるラブストーリー。アカデミー賞主要4部門受賞のオススメの1本。

配給:ユナイテッド・アーティスツ/93分

制作:アメリカ合衆国/1977年

上記の2作品を選んでくれたBOOKS 楽坊さんのinstagramアカウント→https://www.instagram.com/rakubo/

ゆけむり店主5人目:タケシマ文庫(熊本・熊本市)

熊本市中央区にあるお店で明治から平成にかけての熊本の郷土史料、人文書や美術書を取り揃えられています。九州一円で古書古本の出張買取も精力的にされており、本を売ったり買ったりを愉しめる街の古本屋です。

本 『女のいない男たち』 著者:村上春樹

女を失った男の深い喪失感を描く短編集です。村上春樹さんの恋愛観なのでしょうか。それぞれの物語で露わにされる男たちのマチズモに背筋が凍る瞬間があります。もしかしたらホラーなのかもしれません。そういう意味で忘れられない恋愛小説です。

出版:文藝春秋/2014年

映画 『パンチドランク・ラブ』 監督:ポール・トーマス・アンダーソン


私が崇拝する映画監督です。
実験的な撮影技術、音響、照明、演出、俳優、全てが規格外で、恋のファーストインパクトと狂気を描くことに見事成功しています。恋の始まりは予兆もなく暴力的だということを教えてくれる冒頭10分。
ぶっ飛んでます。

配給:コロンビアピクチャーズ&東宝東和/95分

制作:アメリカ合衆国/2002年

上記の2作品を選んでくれたタケシマ文庫さんのWEB→https://takeshimabunko.com/

ゆけむり店主6人目:ぼくモル(福岡)

福岡を拠点に、少し珍しい植物たちと暮らしながらオリジナリティ溢れる植木鉢や植物をモチーフにした怪獣のオブジェなどを作陶している店主。福岡市内で開催の植物関連の展示や販売会にも出品されています。

本 『天使の卵』 著者:村山由佳

つくづく物語というものは出会うタイミングによって大きく印象が変わるものだなーと思う。学生時代、一気に読んだのはたしか国語の小説問題に出てきたのがきっかけだったはず。賛否ある恋愛小説、天使の卵。主人公は19歳の美大予備校生、8歳年上の女性に惚れてアレコレある淡く切ないお話。同じく19歳の美大予備校生で8歳年上の女性が気になっていた自分に刺さらない訳がなかったのでした。あえて読み返さずにおきたい物語のひとつです。

出版:集英社/2012年

映画 『去年マリエンバートで』 監督:アラン・レネ



男「前に会ったの覚えていますか」
女「いいえ、覚えていないわ」
ひたすらにこれを繰り返す恋愛(ホラー?)映画です。映像表現における芸術性はめちゃんこ高く、構図や編集などどれも素晴らしい反面、とにかく超難解。
史上最も難解な映画と称されているのも納得な仕上がりです。初めて観たときは早めに爆睡しました。でもそれから何度も観直し、全台詞を書き起こしてみたりと不思議とその魅力に惹き込まれていきました。これはただ単につまんないだけの映画なのか、ぜひ体力のある日に観ていただきたい1本です。

配給:コシノー&東宝東和/94分

制作:フランス&イタリア/1961年

上記の2作品を選んでくれたぼくモルさんのinstagramアカウント→https://www.instagram.com/bokumoru/

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